インターネット社会と言われる昨今。そんな社会を象徴するように、近年「IoT」という「モノのインターネット」が普及し注目を集めています。その利用は多岐に渡り、様々な事業へ広まっています。特に製造業においては、IoTは必要不可欠な存在となりつつあるほどです。そこで本記事では、IoTを導入するにあたってのステップをご紹介します。

 

「IoT」ってなに?

そもそも「IoT」とは何なのか。IoTとは「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」という意味です。

もともとインターネットは、コンピュータとコンピュータをつなぐものでした。しかし近年スマートフォンなどのタブレット端末、テレビやデジタルレコーダーなどのデジタル家電などが普及したことで、それらとインターネットをつなぐ役割を担うものが必要となりました。そこで登場したのが「IoT」です。

IoTは最近話題のスマートスピーカーなど、センサーから検知する機器にも使用されています。

 

「IoT」の優れた機能

IoTにはさまざまな便利な機能がありますが、そのひとつが遠隔操作です。身近なものでいえば、リモコンでテレビをつけるなどのリモコン操作もIoTの技術です。エアコンの消し忘れなどの非常時でも、外出先から操作してエアコンを消したりできます。また、事前に遠隔操作によってエアコンをつけ、室内を快適な温度にした上で帰宅することも可能です。

これらの機能は日常生活だけでなく、工場や農場、自動車業といった幅広い分野でも取り入れられています。例えば、自動運転技術にはこのIoTが必要不可欠ですし、上記のエアコンの使用例はビニールハウス栽培にも利用できます。

 

製造業への導入によってできること

ここまでいくつか例を挙げてその高度な機能をご紹介してきましたが、ここからは製造業への導入にはどのような利点があるのかをご紹介します。

・データの整理

まずデータを簡単に収集、整理してくれるという利点があります。生産数や価格などを素早く集め、データ化してくれることで、作業効率の向上を図ることができます。

また、品質管理や在庫管理といった面でも活用でき、人の手によるデータ化よりも素早く正確なデータを作ることができます。

・さまざまなデバイスの無線化

無線化が実現することで、無人でも工場を動かし続けることが可能になります。休日や夜間といった人のいない場合であっても遠隔で機械の操作を行えるため、生産量増加のほか、人事コストの削減をはかることもできます。

 

製造業、工場の導入への3ステップ

IoTを導入するにあたって、3つのステップを踏む必要があります。それが「見える化」、「抑制」、「自動化」です。

まず1つ目は「見える化」。これはありとあらゆるデータの統計をまとめ、数値やグラフによっていつでも見れる状態にしておくということ。データの整理を行うには、元となるデータが必要です。これまでの統計や生産について、データをまとめて視覚化しておきましょう。

次に、まとめたデータを「抑制」します。例えば導入するのが無人の工場であれば、機械を遠隔操作する時間帯を入力しておくことなどが抑制にあたります。必要なタイミングで正常に、より効率よくIoTを使用できるように、データを元に「抑制」するのです。

2つのステップを終えたら、最後は「自動化」です。AIの活用によって第二フェーズである「制御」を自動化し、効率化自体をシステムに行わせます。

3つのステップを挙げましたが、まずIoTの基盤となるのはデータです。第一フェーズである「見える化」でビッグデータを集めるところから始めてみましょう。

 

製造業、工場への導入の問題点、課題

高性能なIoTですが、製造業への導入は他の業種に比べてまだまだ遅れが見られます。開発の途中段階でもあるIoTの課題をいくつかご紹介します。

・バッテリーの持ち

IoTを動かすのに最も重要なのがバッテリーです。しかし、現代のデバイスの多くは小型で軽量なもの。この手軽な大きさは導入しやすいという利点もあるのですが、逆に大型のバッテリーを搭載できないため、バッテリーの持ちが課題として挙げられています。

・人手不足

次に挙げられる問題が人手不足です。IoTを導入するには事前に膨大なデータをまとめ、さらにIoTがまとめたデータを分析することが必要になってきます。IoTがまとめたデータの分析には高度なスキルが必要になりますが、その高度なスキルを持った人材を確保することが非常に困難なのです。

IoTを導入すればその場に人がいなくとも遠隔で機械を操作できるため、人手不足とは無縁のように思えますが、導入する前段階で人手不足という課題にぶつかってしまう可能性があります。

・セキュリティ

企業への導入だけでなく、生活家電で利用する場合にも課題となっているのがセキュリティです。IoTには各企業の多くのデータが読み込まれるため、その分セキュリティリスクも増加します。例えばプライベートでの利用の場合、スマートロックの情報が流出すれば個人情報が外部に漏洩し、悪用されてしまうなどの危険性があります。

IoTデバイスは使用期間が他のものに比べて長くなる傾向にあるため、セキュリティ対策の限界も問題視されています。

・導入には時間とコストがかかる

IoTの導入にあたって、工場であればどの機械にセンサーを搭載するのか、IoTにはどのデータを読み込ませるのかなどの事前作業に加え、前述した3つのステップを行う必要があります。これらは簡単に行えるものではなく、短期間でIoTを導入するのは不可能に近いでしょう。

また、高性能なものを導入するには高額なコストがかかります。比較的安価なIoTデバイスもありますが、価格が安い分機能は制限されてしまいます。「今話題だから何となく」という軽い考えで導入することはできまん。

 

まとめ

IoTとは何か、企業への導入のフェーズ、現在挙げられている課題などについて詳しく紹介いたしました。まだ課題もありますが、日々研究や開発が進みその性能は向上しています。あらゆるデータの「見える化」による生産スピードの向上や、コスト削減といったメリットが非常に多く、とても利点のあるシステムです。しかしその分高度な技術が必要になってきます。経営状況や生産状況をしっかりと吟味した上で導入をご検討ください。