「IOT」とは、「Internet of things」の頭文字をとったもので日本語では、「モノのインターネット」と訳されています。今までネットワークに繋がれていなかった様々なモノが、インターネットに繋がることで情報の収集や分析が簡単に出来るようになり、私達の生活も大きく変わろうとしています。現在、多くの場所で活用されているIOT。今回はIOTを支えるネットワークにはどのようなものがあるのか、種類や特徴・規格について詳しくみていきたいと思います。これから様々な場所で活用されるIOTのネットワークについて、また今最も注目されている無線通信システムについても一緒に見ていきましょう。

 

IOTを支えるネットワークの種類

IOTを支えるネットワークには、いくつか種類がありそれぞれ特徴を持っています。私達の身近なところで言うと、無線LANやBluetooth、5G、LTEといった無線通信規格があります。これらの通信規格を比較するためには、ネットワークの速さを現す「転送速度」と、通信できるエリアを現す「通信距離」の二つの視点から考えてみると比較しやすいです。

 

例えば無線LANの場合、転送速度が54Mbbsと比較的高いのですが、通信距離が100~300m程となり、Bluetoothと比較してみると転送速度は24Mbbsm、通信距離は10~100m程度なので「通信距離」「転送速度」共に速く、広範囲に使えることが分かります。

 

他にもZigbee、Irda、LPWA、SIGFOXなど様々な通信規格があります。それぞれ、転送速度は遅いけど広範囲に使えるものなど特徴があります。このような通信規格によって、私達のネットワークは作られています。いくつもある通信規格の中でIOTを支えるネットワーク通信システムとして、現在使われているのが「LPWA」という無線通信規格です。

 

話題の無線通信システム「LPWA」とは? 

「LPWA」(エル・ピー・ダブリュー・エー)とは、「Low Power Wide Area」の頭文字をとったもので、和訳では低消費電力広域通信などと訳されています。これは、無線通信規格の中でも消費電力が少なく、広範囲にわたって通信が可能な通信システムで、電源を確保するのが難しい山奥や離島などでも使えるため、IOTのネットワーク通信として非常に適しています。電池交換をする手間も他の通信規格に比べて少なく、電池だけで長期間使えるため様々な場所の潜在的なニーズにも合致していると言えます。

 

ただLPWAは、3GやLTEなどの通信規格と比べると、通信距離も長く消費電力も少ないというメリットはありますが、その分データの転送速度が遅いというデメリットもあります。それでも画像や動画といったものを送るほどの情報量は必要ないけれど、文字などの簡単な情報を定期的に知りたいという時に大変便利です。

 

様々なモノがインターネットに繋がっていくためには、山奥や離島などの電気も通っていないような場所でもIOTのネットワークが使えるようにする必要があります。そのためには、無線通信が必要不可欠になります。そういった意味で消費電力が少なく、電池だけで動くLPWAがIOTを支えるネットワークとして注目を集めているのです。

 

「LPWA」は大きく3つ!

現在、IOTを支えている無線通信システム「LPWA」には大きく三つの種類があります。それぞれの違いや特徴を詳しくみていきたいと思います。

 

・SIGFOX

まずはSIGFOXです。SIGFOXは、2009年に初めてフランスで設立された通信事業者「SIGFOX」が提供しているグローバルなIOTネットワークの一つです。2016年には29ヵ国との契約を結んでいたSIGFOXですが、わずか二年後の2018年には世界60ヵ国に展開するほど広がりを見せています。また日本では2016年11月に初となる、京セラ・コミュニケーションシステム(KCCS)として、SIGFOXネットワークの展開を発表しています。SIGFOXは、年間でかかるコストはわずか数百円、消費電力やコスト削減といったIOTの課題解決に見事に解決している点もLPWAの一つとして、注目を集めています。

 

・LoRaWAN

そして二つ目のLoRaWANは、Long Rang Wide Area Networkの略称で和訳では、長距離広域ネットワークなどと訳されます。日本では、「Softbank」や「NTT西日本」が展開する無線通信システムの一つです。IOT向けの通信規格として、日本だけでなく世界的に広く利用されています。特徴としては、ボタン電池一つであらゆる方向に通信が可能で頻繁な充電作業もないことから、省電力かつ低電力であること、123kmの通信データに成功しており非常に長距離通信が可能な通信システムと言えます。また室内でも利用可能、万が一通信状況が不安定になる場合にはゲートウェイなどの無線機器を使うことで、室内でも快適にネットワーク通信を楽しむことができます。

 

・NB-IOT

最後に三つ目のNB-IOTは、Narrow Band IOTの略称で狭い周波数帯のIOTを意味します。IOTネットワークの中でも、電子レンジなど家電や車、環境センサーといった高速のセンサーを必要としないもの、静止している状態で使うIOT端末向けに策定された無線通信システムです。一回のデータ通信量もかなり少なく、利用する周波数帯域羽場も200kHzと他の通信システムに比べると狭いです。こうした静止した状態で使える端末や建物内部、地下でも通信できることからLPWAの一つとして注目を集めています。また端末のバッテリー寿命が、なんと単四電池2本で10年以上もつことから、非常に低コストで省電力の通信システムとして話題になっている器機の一つです。

 

まとめ

IOTを支えるネットワークは、いくつもの無線通信システムによって成り立っています。その中でもIOT向けの通信システムは、省電力で低コスト、山奥や電波が届かないような場所でも通信できるように広範囲をカバーできるLPWAが必要とされています。今後も日本だけでなく世界中で私達の生活を様々な面から支えてくれるIOTが普及していくことでしょう。