インターネットの普及、発達により、私たちの生活には急激な変化がもたらされました。その中で誕生したのがAIやIoTといった技術、またビッグデータといった概念です。

特にIoTは、今やIT関連企業のみならず、製造業にとっても欠かせない技術の一つです。本記事では、第4次産業革命について、製造業とIoTの関わりに焦点を当てて解説していきます。

 

産業革命の流れ

産業革命とは、技術革新などにより製造業等が急成長し、社会にも大きな変革をもたらす状況のことです。現在の第4次産業革命に至るまでの第1次〜3次産業革命の流れは以下の通りです。

 

第1次産業革命は、1700年代半ばに英国で始まった世界で最初の産業革命です。主に蒸気機関の発達による工場の機械化を指します。これにより、作業の飛躍的な効率化が進みました。

 

第2次産業革命は、1800年代後半にドイツやアメリカにて、鉄鋼や造船などの重工業、また石油や電力などを利用した化学工業の技術革新のことです。電力による工場での大量生産化が実現し、科学技術も発達しました。

 

そして1990年代、コンピュータが台頭し機械の大幅な自動化が進みます。これが第3次産業革命で、デジタル革命とも呼ばれています。

 

この第3次産業革命の延長上にあるのが、現在の第4次産業革命です。

 

第4次産業革命

ドイツ政府は2011年、「インダストリー4.0」と呼ばれるIoTを用いた製造業の効率化を世界に先駆けて取り組みました。この取り組みが第4次産業革命の元になったといわれています。そして2016年のダボス会議にて、初めて大々的に提唱されたことで脚光を浴び、世界に広がるきっかけとなりました。

 

コンピュータの普及による第3次産業革命以後、インターネットも同時に普及したことによりさらに技術の発展は進みます。そこで生まれたのがAIやIoTといった技術です。それらの技術を使って集めた情報をビッグデータと呼び、そのデータを活用することで作業を効率化したり、新たなサービスを生み出すことが第4次産業革命だといわれています。

 

私たちは今まさに、第4次産業革命の真っ只中を生きています。この変化に取り残されないためにも、IoTとは何かを正しく理解して、私生活や働く環境にとって重要なものを選択していく必要があります。

IoTとは

IoTとは、英語の“Internet of Things”の略称です。

日本語では「アイオーティー」と読み、「モノのインターネット」と訳されます。文字通り、様々な「モノ」がインターネットと繋がり、そこからデータを収集したり、インターネットを経由してモノ同士で通信したりすることを意味します。

 

IoTの一番身近な例はやはり「スマートフォン」です。携帯電話がインターネットに接続されたことにより、情報検索や読書、買い物など日常生活のあらゆることが手元のスマホ1台で実現できるようになりました。この他にも歩数や心拍を測ったりメールの確認ができたりする「スマートウォッチ」、スマホから電源ON/OFF等の遠隔操作ができる「スマート家電」などが挙げられます。

 

このように、既に私たちの身の回りにはIoTが浸透しており、今では生活に欠かせないものとなっています。

 

製造業におけるIoT

製造業がIoTを導入することにより、生産ラインの効率化を図ったり、顧客データ収集等によって製品の改良や開発ができたりとその可能性は無限大です。IoTの導入による効果が最も高いといわれています。今後の製造業はIoTの活用無しには生き残れないとさえ言われています。

 

しかし、今までIoTと縁の無かった企業が急に最新技術を導入するのは容易ではありません。そういった企業のために存在するのが「IoT関連企業」といった、IoT導入の提案、システム開発や技術のコンサルティングを行う企業です。IoT関連企業を利用してシステムを導入することで、導入後もサポートを受けながらIoTを活用していけるのです。

 

実際の現場ではどのようにIoTが活用されているのでしょうか。経済産業省「中小ものづくり企業IoT等活用事例集」(2017年3月発表)に掲載されている神奈川県内のIoT導入企業とIoT関連企業の事例を紹介します。

⬛︎株式会社東伸コーポレーション(横浜市)

株式会社東伸コーポレーションは、生コンクリート・原材料販売、その他建設資材全般を扱う独立メーカーです。

生コンクリートの品質検査では、熟練作業者の勘と経験に頼るところが多く、経時変化の確認作業が負担となっていることが課題でした。そこで、ミキサー車にセンサーを取り付けて生コンクリートの品質データをリアルタイムでクラウドへアップロード、随時確認できるように改善。その結果、生コンクリートの品質検査が手間・時間をかけずに可視化できるようになり、生産性の向上につながりました。

 

⬛︎株式会社KMC(川崎市)

あらゆる企業に向けて技術コンサルティングやソフトウェア開発をおこなっている株式会社KMC。製造業向けには、工場内の加工機をネットワーク化するツールを開発して提供しています。これにより古い機材やメーカー違いの加工機からも稼働状況などのデータを取得できるようになりました。

IoT導入前にコンサルティングを実施し、各企業のニーズを汲み取りそれに合わせてカスタマイズしたIoTを提供しています。

 

このように、製造業にIoTを導入することで、今までは人の目や技術に頼っていたものがコンピュータで一括管理できるようになったり、人の目が及ばなかったところからデータを収集することができるようになったりと、IoTによる製造業への恩恵は大きいことがうかがえます。

まとめ

IoTの普及によって製造業は、モノを作るだけにとどまらず、世の中にどんどん新しいサービスを送り出せる可能性を秘めている業界です。

IoT導入で単なる生産ラインの効率化やデータの可視化だけではなく、収集データを利用した更なるサービスの展開を始めた企業も多くあります。このように、IoTとひとくちに言っても、企業によってその使い道は様々です。また、第4次産業革命の中でIoT自体も進化していくため、今後さらに活用の幅は広がるでしょう。