毎日多くの商品を生産し、日本の産業を支えている製造業。製造業で一番多い悩みといえば、不良品の発生です。製造業を営む上で避けては通れない、大きな悩み。ITを活用し写真に残して記録を取ることは、不良を無くす大きな一歩です。そんなITを使った不良減少の方法をご紹介します。

急速に発展するIT

インターネット社会と言われる今日、ITは世界中で急速に広がっています。ITを活用すれば、不良品を無くすことに繋がるのです。

そもそもITとは何なのか。ITとは”Information Technology”の略で、情報技術という意味です。パソコンやスマートフォンといった端末などのハードウェア、アプリケーションなどのソフトウェア、Wi-Fiや5Gなどのインターネットの3つの要素から構成されています。

1990年代にアメリカで登場した後に日本でもさまざまな分野で活用され、「IT革命」という言葉が誕生するほど急速な発展を見せています。特に電子商取引での活用が多いとされていますが、学校の授業にも取り入れられ、現代社会において無くてはならないものです。

不良が起こる原因、「5M」とは

製造業で一番の悩み、不良品。出してはならない不良ですが、どうしても避けては通れない悩みです。

そんな不良の発生にはさまざまな原因が考えられますが、特に多い原因は5つ。それはまとめて「5M」と呼びます。5Mとは、「Man」、「Machine」、「Material」、「Method」、「Measurement」の頭文字のこと。意味はそれぞれ、人・機械・材料・方法・測定です。

これら5つのどれかの誤操作により、不良が発生する場合がほとんどです。詳しく述べると、人の作業ミス、機械の故障や誤作動、そもそもの材料の不良、作業方法の間違い、材料の測定の間違いです。

人によるミスは一般に、「ヒューマンエラー」と呼ばれます。ヒューマンエラーの多くは凡ミス。例えば、見落としや長年の慣れによるミス、集中力の低下などがあります。

不良削減には原因を見つけることが一番の近道

不良品は出してはいけません。出荷前に見つけることができるのが一番ですが、出荷後消費者の元へと届いた後に発見されれば、最悪の場合命に関わることにもなりかねません。

そんな不良をゼロに近づけるためには、不良となった原因を見つけ、その原因を解決することが大切です。先ほど述べた5Mからどの工程によって出た不良なのかを探していき、同じミスを無くす解決策を探していきます。

その解決策を見つける方法はさまざま。ヒューマンエラーが原因であれば、同じミスを繰り返さないようにダブルチェックを行う、機械が原因であれば早期に修理する、方法が原因であればその方法を見直し、不良の出ない方法に変更するなどが挙げられます。

不良は出してはならないものですが、それでも出てきてしまう場合があります。その場合は発生した不良を次の工程まで持ち込ませないことが大切です。

多忙な製造現場の現状

不良の原因を見つけ解決策を探すことが大切、と述べましたが、製造現場は多忙でなかなか細かいところまで目を向けられていないのが現状です。

現在の日本の国内総生産のうち、約21%は製造業が占め、これはサービス業の次に多い数値です。かつて日本は「ものづくり大国」と呼ばれるほど、製造業が盛んでした。しかし、バブル崩壊により、人手不足や不景気が影響し、大きく衰退しています。

現在、製造業の大きな課題として問題視されているのが、人手不足。少子高齢化により、生産年齢の人口が大幅に減少しています。これは製造業のみならず、すべてに当てはまる問題ですが、特に製造業は「きつい、汚い、危険」の「3K」のイメージから、若者離れが深刻です。働く人が少なくなればその分、一人一人の業務量が増え、負担が大きくなってしまいます。

これにより従業員の過労に繋がり、ヒューマンエラーが多くなってしまったり、解決策を探すことまで手が回せなくなっているのです。

ITで製造業の直面する課題を解決

人手不足が深刻な製造業ですが、近年ではITを活用する動きが活発になっています。その事例をいくつかご紹介します。

まずはIoTを機械に導入する、「スマートファクトリー」です。これはIoTのセンサー技術を活用して機械の故障を事前に知らせたり、無人工場の実現などにより生産量を向上させることが期待できます。機械の故障を防ぐことは不良削減に大きく繋がるほか、機械の故障による費用や時間の削減にも繋がります。

そしてITの要素の一つであるAIを活用した、産業用ロボットの導入です。産業用ロボット導入は、人手不足の解消だけでなく、生産品質の向上も期待できます。ロボットは精度の高い技術を高速で行います。これにより不良削減に繋がるのです。また、一定のスピードで生産するため、生産量の向上もできます。

これらを導入するには、多くの費用と時間がかかります。また産業用ロボットは多くの種類があり、それぞれで得意分野が異なるため、適切なものを選ぶ必要があるでしょう。導入すれば多くの利益が期待できますが、会社の状況などを把握し、慎重に検討する必要があります。

不良の原因の発見にもITを活用しよう

不良の原因を見つける方法の一つとして、ITを活用して写真に記録する方法があります。これは、機械による画像選別によって不良を省く方法です。

これまでの現場は目視によって不良を省いてきましたが、あくまでも人の目によるもの。どうしても見落としなどのヒューマンエラーが発生してしまう場合があります。そこで機械を導入することで、正確さと時間減少に効果があるのです。

そして発見された不良は写真を撮り、画像として残しておきましょう。不良の記録を写真に残すことで、何が原因で不良が発生したのかが見つけやすくなります。

まとめ

製造業で欠かせない大きな問題、不良品の発生。しかしITを活用することで、不良削減に大きく近づくことができ、さらにITは生産量の向上やコスト削減にも大きく貢献します。発展を続けるITを上手く活用して、不良ゼロを目指しましょう。