近年、IoTデータはさまざまな分野で活用されています。製造業で生産ラインを機械化するなど、企業が使用するだけではありません。遠隔操作で部屋のエアコンの電源を入れたり、照明を付けたりするなど、日常生活の中にも深く関わってきています。

現在も活用されているデータですが、今後はIoTデータと非IoTデータの融合が重要になってきます。2種類のデータを活用する企業も増えていく見込みです。

今回は、IoTデータや非IoTデータの活用、2つのデータの融合などについてご紹介します。

 

IoTデータとは

IoTとは、「Internet of Things」の頭文字をとった言葉です。つまりIoTというのは、「モノのインターネット」のことです。

 

例えば小売店におけるIoTデータというと、ショッピングカートなどに搭載されたセンサーを使用することで、買い物客の行動をデータ化することをいいます。IoTデータを収集し分析すると、買い物客の行動パターンが分かります。企業は、そのデータをもとに店頭に並べる商品を決めたり、商品レイアウトを工夫したりし、売り上げ向上を考えているのです。

そのため、データを収集し分析することによって業績アップを狙う多くの企業にとって、IoTデータは必要不可欠なデータです。

 

その他にも工場で生産ラインを遠隔操作したり、農場で動物の動きを探知したり、家の家電をスマートフォンから遠隔操作するなど、さまざまな分野でIoTデータは活用されています。

 

非IoTデータとは

非IoTとは、文字通り「Internet of Things」、「モノのインターネット」ではないということです。つまり、IoTデータが「モノが生成する」データであるのに対して、非IoTデータは「企業や人間の活動が生成する」データであるということです。

 

具体的には、個人のスマートデバイスから生み出されるデータや、企業の業務システムのデータなどが非IoTデータであるということです。

ソーシャルメディアなどで生成されるデータも、非IoTデータのひとつです。

 

IoTデータと非IoTデータの今後

IDC Japanの調査によると、世界中に存在するIoTデバイスの数は2025年には820億個に増え、生成されるデータの量は163兆ギガバイトにまで増加するといわれています。その、生成されるデータの中にはIoTデータと非IoTデータの2種類のデータがあり、占める割合は非IoTデータのほうがはるかに大きいのです。

 

非IoTデータのなかで特に多いのが、ソーシャルメディアやエンターテインメント系のサービスによって生成される、個人消費者の活動が生成するデータです。

 

現在収集されているIoTデータだけでは、消費者の動向などを分析するのに充分ではありません。そのため、IoTデータだけでなく非IoTデータも蓄積し、これら2種類のデータを適切に組み合わせていく必要があるのです。

 

現在、2種類のデータを分析し、適切に活用している企業がAmazonやGoogleなどのIT企業です。これらの企業にならって、今後はIT企業以外も非IoTデータを収集しIoTデータと組み合わせて適切に活用していかなければいけません。

 

IoTとエコシステム

エコシステムとは

「エコシステム」とは、もともとは生態系を表す英単語が由来の言葉です。主にIT業界において、業界全体の収益構造を意味する言葉になっています。

 

ひとつの企業だけが収益を上げていくのではなく、業界全体でどのように収益を上げていくかを考えるときに使われる言葉です。

 

日々テクノロジーや環境が変化していく中で、多種多様な業種の企業がひとつになり協力しながらさまざまな変化に対応していくという姿勢が求められています。

 

IoTにおけるエコシステム

企業は、顧客の買い物パターンなどのさまざまなIoTデータを収集して分析しています。しかし、そのデータ量は膨大です。

全てのIoTデータを自社のみで収集し分析するには、莫大な時間とコスト、労力がかかってしまいます。

 

そこで、同じ業界の企業が協力してデータを収集、分析、活用しようという流れがあります。それが、IoTにおけるエコシステムです。データを収集する企業、収集したデータの分析を行う企業、分析したデータを活用する企業というように分業すれば、コストや時間を省くことができます。

 

また、収集し分析したデータをもとにそれぞれの企業が業績を上げるための努力をすれば、業界全体の収益を上げることができます。そのため、IoTデータを扱う上でもエコシステムを構築することは重要です。

 

データエコシステム

IDC Japanは、IoTデータと非IoTデータを組み合わせてビジネスモデルをつくり収益を上げようとしている組織や企業などの集合体を、「データエコシステム」と呼んでいます。また、データエコシステムを活用することでデータに付加価値を付け販売したり、情報や収益をシェアしたりするビジネス形態のことを「Data as a Service」(DaaS)と呼んでいます。

 

同社の調査によると、現在、データエコシステムに関して3つの流れがあることが分かりました。

1つ目は、流通や製造など、それぞれの産業に特化したソリューションを構築するデータエコシステムが増加していることです。そうすることで、各データエコシステムのデータを産業をまたいで活用することができ、バリューチェーンのつながりが強化されてきています。

 

2つ目は、データエコシステムを活性化することを目的とし、IoTの領域と非IoTの領域の境界線をなくし融合させることです。そうすることで、データの活用がより広範囲に広がり、各業界の「イノベーションの連鎖」が促進されています。

 

3つ目は、DaaSを通じてデータをサービスとして提供するベンダーが出てきたことです。データエコシステムに関わるさまざまな分野の人々がデータを自由に取引します。その結果、オープンイノベーションが推進されていきます。

 

まとめ

このように、IoTデータや非IoTデータは各産業の発達に必要不可欠なデータとなっています。そして、データエコシステムといった、さまざまな業種が協力しながら発展を目指す共同体もうまれています。

今後、IoTデータと非IoTデータが融合され、2種類のデータが適切に活用されることで、さまざまなビジネスや産業が活発になっていくことが期待されます。