インターネット社会と呼ばれる今日。IoTは生活の中で欠かせないものとなりました。冷暖房やスマートスピーカーなど、日常の中で使用されているIoTですが、さまざまな業界でも導入され注目を集めています。今回はその中からサービス業に使用されているIoTをご紹介します。

IoTとは何か

 

耳にしたことはあるけど、実際にどういうものかご存じない方も多いかもしれません。IoTとは「Internet of Things」の略で、直訳すると「モノのインターネット」です。IoTが登場するまでインターネットは、主にコンピューター同士を繋ぐものでした。その後インターネットが普及し、インターネットが端末を越えて繋がる「IoT」が誕生したわけです。「コンピューター以外のもの」とは、前述の通り冷暖房やスマートスピーカーなどのことを指します。冷暖房にIOTを導入すると、スマートフォンから電源を入れれたり、温度を調節したりできます。これはIoTの技術のひとつです。スマートスピーカーも同様で、音声を認識し、インターネット経由で指示通りの操作を可能とします。

 

幅広い分野で活躍するIoT

IoTの技術は身近な日常生活の中だけでなく、製造業からサービス業までさまざまな分野で活用されています。その例をいくつかご紹介します。

まずは工場です。生産量や売上を自動的に収集することで、人間が管理することなく需要と生産のバランスを取り生産の効率化を図ることができます。また、遠隔操作の技術を活用することで休日や夜間なども生産ができ、生産量の増加や人事コストの削減もできます。

次に農家です。農家は後継者問題や人手不足が問題視されています。それらの問題を、IoTで補うことができると期待されています。例えば、作業機械とインターネットを繋げることで機材のメンテナンス時期を知らせてくれたり、生産量を自動的に知らせてくれたりということが可能です。また、ビニールハウスの温度などを遠隔操作で行い、人手不足の解消を図ることもできます。

医療現場でもIoTが導入され、日々開発されています。モバイル端末を使って、病院に行かなくても自宅で診察を受けられる技術も考えられています。これにより、将来的には患者側は好きな医師を選べたり、待合室で長い時間待つということが避けられるでしょう。また、手術の際に複数の機械を遠隔で操作し、一目で患者の身体の状態をモニターから確認できるような技術も進んでいます。こうした技術が普及すれば、医療事故の削減や医師不足といった問題の解決に役立つでしょう。

 

サービス化されたモノの事例:コマツ

 

建設や鉱山、林業、産業機械の事業を展開しているコマツ。1921年に創立し、日本でのシェア1位を誇り海外にも進出している大手メーカーです。そんなコマツもIoTを導入しています。それが「コマツIoTセンタ」です。「コマツIoTセンタ」では、説明会や見学会を開催し、スマートコントラクションへの理解を深める体験を提供しています。

デモンストレーション見学では、実際にドローンがブルドーザやショベルなどのICT建機を施工する様子が見学できます。また、ICT建機に試乗してその性能を体感できる企画も行っています。説明会では講師を招き、スマートコントラクションについて詳しく丁寧に説明してくれます。

「コマツIoTセンタ」は、北海道から九州まで全国11箇所にあり、随時セミナーを受け付けています。

 

サービス化されたモノの事例:ロールスロイス

 

言わずと知れた高級車ブランド、ロールスロイス。1906年にイギリスで設立され、現在はBMWが所有しています。主に、高級車を製造、販売している会社です。世界中のセレブに愛用されている「ショーファードリブンカー」を始め、数々の自動車を製造しており、日本でも販売されています。

高級車ブランドのイメージの強いロールスロイスですが、航空機用エンジンなどの製造も行っています。その航空機用エンジンにIoTの技術が導入されているのです。

ロールスロイスは2017年に、機械学習、AI、データアナリティクスを組み合わせた、「R2DataLabs」という新しいサービスを発表しました。このサービスは、約1年後の2018年末までに、インターネットに接続された航空機用エンジンを開発し搭載するサービスです。IoTを活用して、稼働中のエンジンから70兆を超える膨大なデータを収集することが目的とされています。このサービスには、科学者やエンジニア、データアーキテクトなど、データ収集のスペシャリスト200人が参加し1年間で約370億円相当の価値が生まれました。

その後も開発は進められ、現在ではIoTのセンサー機能を活用し船舶の運用成績の向上にも利用されています。IoTの技術をさらに活用することで、ビジネスメリットはまだまだ生まれると信じ、現在もスペシャリスト達の手によって新たなサービスが開発されています。

 

サービス化されたモノの事例:ミシュラン

 

フランスに本拠地を置く世界最大のタイヤメーカー「ミシュラン」。世界で初めてラジアルタイヤを製品化し、乗用車、トラックなどの四輪車や二輪車をはじめ、産業機械や航空機などのタイヤも製造しています。

そのミシュランの日本社である日本ミシュランタイヤは、2018年にIoTを活用したタイヤ管理システムを発表しました。その名も「ミシュランTPMSクラウドサービス」。「TPMS」とは、「タイヤプレッシャーモニタリングシステム」の略です。このサービスはIoTのセンサー機能を利用しています。タイヤにセンサーを取り付け、タイヤの空気圧と温度を感知し、事故やトラブルを未然に防ぐ仕組みです。海外では既にサービスの利用は開始されていましたが、2018年に新たにソフトバンクと提携し、日本でも実用が開始されました。タイヤの異常を早めに検知し未然にトラブルを防ぐことができるため、運搬時間の短縮などの効果が見られています。

 

まとめ

 

幅広い分野で導入され多くの実績を挙げているIoT。これからも私たちの身の回りの生活を便利にしてくれるだけではなく、産業やサービス業などでも活用されていくことでしょう。今後どのような企業が、どのようなサービスを生み出すのか目が離せません。