最近、耳にすることも多くなったIoTという言葉。

特に、製造業に関わる方であれば、ここ数年で耳にしない日がないほど、「IoT」という言葉を聞く機会が多くなっていると思います。

この「IoT」今後、製造業では確実に取り込んでいくべき技術ではあるので、これは絶対に知っておいてほしいワードです。

工場でもIoT化が広まっていますが、まだまだ発展の余地があり課題も多いのが現実。この記事では工場のIoT化を進めるための6つの課題について知っていきましょう。

 

そもそも製造業のIoTとは?

IoTとは「Internet of Things」の略で、製造業の例でいえば工場内の機械と、PC、スマホやタブレットが、インターネット経由でつながる事を指しています。

特に中小製造業の工場に設置してる機器の多くは、通信機能を備えていない事がほとんどですが、これがネットとつながることにより、今まで製造してた部品の個数が、いちいちカウントしなくても手元でリアルタイムで分るようになったり、スマホ経由で機器の操作が可能になったり、利便性や生産性が高まることが期待されます。

 

製造業のIoT化の必要性と現状

2015年頃から世界中で注目されるようになったIoT。日本でも、大規模な設備を持つ自動車製造業などでは、どんどんIoT化を進める取り組が進んでいます。

ただ、小さな部品メーカーなど、中小の製造業の「IoT化」は遅れており、その差が開きつつあるのが現状です。

少子高齢化社会や人材不足など、多くの課題がのしかかってくる現状に対応するためにも、特に中小製造業のIoT化は、非常に重要であり、切迫した問題と捉えなくてはなりません。もうすぐにでも現場でIoTを活用することは必須です。

現状として、現場で用いられている設備や、センサーが生成するデータを収集して活用していこうという基盤はできつつありますが、完全に活用するには至っていません。

 

製造業が抱えるIoTの6つの課題とは?

十分なIoT化が、できているとは言い難い製造業界ですが、スマート工場などIoTを生かした事例が増えつつあり、今後も確実に進歩していくでしょう。最近耳にすることが増えたスマート工場ですが具体的には工場を機械や生産ラインなどにインターネットで接続し生産性の工場や品質管理の工場を図ることを意味しています。

そんなスマート工場には、IoTやAIの導入が必須で、それらを活用することにより設備や人が理想的な形で連携できるようになります。

スマート工場等を実現し便利な世の中をつくるためには製造業のIoT化を進めていく必要がある反面、課題も多く、まだまだ困難なこともたくさんあります。

前置きが長くなってしまいましたが、具体的にどのような課題があるのか見ていきましょう

 

課題1:導入コスト

工場をIoT化するにあたって大きな課題になるのがコストです。データの収集や分析を行うためにはじめは莫大な費用がかかる可能性が高く、数千万円のお金が動くことがほとんどです。例えば通信機器や機器に取り付けるセンサー、通信するためのLANケーブルなど必要なものを挙げるときりがありません。

製造業は中小企業が多く売り上げが良いところでもそこまでの導入費用をかけるのは簡単な問題ではないでしょう。そもそもスマート工場を作ろうとするときの投資効果の算定は難しく本当にIoTを導入するべきかがわからなくなるパターンが多いです。はじめはできる限り安価なシステムを探してみたり、支援金を活用することをおすすめします。

 

課題2:人材が必要

工場にIoTを導入するためには人材が必要ですが、そのIoTに精通した人材はまだまだ少なく獲得するのが困難という課題があります。企業内にIoT管理ができる人材を確保するのが得策ですが、それができなければ外部に依頼する必要がありまたコストの問題も浮上してきます。

自社の社員を教育することも考えられますが、どちらにしろコストがかかるのでどのような選択をすればいいのか難しい選択を迫られるでしょう。人材確保が難しいので導入する機械は社員が使いやすいものを選ぶ等の対策をとるべきです。

 

課題3:ネットワークシステムの構築ができない

工場にIoTを導入する際、ネットワークシステムを構築することが難しいと言われています。どういったシステムで運用していくかを選択することが大事なのでこの選択を誤ると大きなミスが起きてしまうかもしれないからです。例えば中央集権型で管理する場合、ネットワークが耐えられなくなり遅延を起こすことも考えられます。

そういった問題が起きた場合自社で解決できればまだいいですが、すべて対応できなかった場合は他社に任せなければいけなくなるので複雑になってきます。

 

課題4:現場の負担が増える

今までとは全く違ったシステムを導入することが多いので現場にとってはやはり負担になります。使い慣れていた機器が変わり、新しい操作を覚えるのは現場の仕事なので理解してもらうことが必要です。意思疎通を図るのも難しく当たり前に順調に行くことは少ないですが、現場の声をしっかり聞き使いやすいシステムを導入、開発できるかがポイントになってきます。

ただこの問題を越えてIoTを効果的に活用できるようになれば現場の負担も減り結果的には生産性も向上できるはずです。

 

課題5:セキュリティーの担保

工場にIoTを導入する際にどうしても考えなければいけないのがセキュリーティーの問題です。ネットワークであらゆる機器をつないでいるため外部からの攻撃や情報に耐えられるシステムでなければいけません。データを活用できる仕組みがあったとしてもそれが破壊されたり盗まれてしまっては元も子もないですよね。

そもそも工場は「つながる」ことを想定してつくられていなかったので、セキュリティー対策が曖昧なのが現状です。対策するという基本的な考えも浸透しておらず普通の業界よりもセキュリティーに対するハードルは高いと考えられます。

 

課題6:データの収集や分析に手間がかかる

IoTを導入したからといって問題がないわけではありません。活用するには課題がたくさんあります。なぜならばデータを取得したり蓄積する仕組みを整えたとしてもそれがビジネス的に価値を生むかどうかはわからないからです。

例えば条件設定が正確でなく活用できないデータばかり集めてしまったりすることがあり得ます。どのようなデータが必要でどういう風に活用していくかということからしっかり考え自社で完結できない場合は他社に依頼することも必要です。

 

これらの課題を乗り越えてIoT化できるのか?

この記事では工場のIoT化の現状と直面する課題についてまとめました。現状はまだまだIoT化が徐々に広まってきてはいますが確立できているところは少ないです。

今後製造業界で生き残るためには確実にスマート工場の導入等IoT化が必要になってくるとは思いますがそこには大きな課題もたくさんあります。

コストや手間がかかるかもしれませんが、工場のIoT化は長い目で見るとメリットが大きいはずです。この機会にIoTの導入を検討してみてはいかがでしょうか。