「IoT」も「サプライチェー」ンも、言葉としてはどこかで聞いたことがあるけれど、人に説明できるほど詳しくない、という方がほとんどではないでしょうか。

この記事はこれらの言葉の意味に加え、IoTとサプライチェーンの関係や、サプライチェーンがIoTと連携することによって起こる変化について説明します。

 

IoTとは

IoTは一般家庭の中にも多く使われています。例えばスマホはその最もたる機器です。あまりにも当たり前すぎて気付くことすらなかったというケースが多い印象ですが、これも立派なIoTデバイスです。

IoTは、スマホなどのデバイスからインターネットにつなぎ、そこから情報のフィードバックを得ることで生活や仕事の効率化などを図る技術のことをいいます。

最近だと、スマートスピーカーなども該当します。自分が欲しい情報を聞けば、デバイスがクラウドから必要とする情報を拾い、適切な形で届けてくれるという仕組みです。

その他には、メニューを教えてくれる冷蔵庫も、インターネットに接続しているためIoT家電に分類されます。もう少し性能が上がれば、スマホと連携しているものも売られており、より活用する機会が増える技術といえるでしょう。このように、オフィス内だけでなく身の回りの家事を効率化してくれるのもIoTなのです。

 

サプライチェーンとは

次に、サプライチェーンについて説明します。これは主に物量業界などで使われている用語で、原材料や部品を調達し、モノを生産後、物流によって販売所まで運び、実際に売るという生産から流通までの一連のプロセスのことをいいます。これらを管理することをサプライチェーンマネジメントなどと呼んだりします。

このサプライチェーンにもIotの導入が効果的だといわれています。サプライチェーンでは、製造から販売までの一連の流れの把握が必須で、当然部門ごとに分かれて業務を行っているため相互連絡が必要です。

家に居ながら商品を購入できる現代では、物流業界の中の流れも効率化しなければ対応できなくなります。サプライチェーンにIotを導入すれば、より効率的に、より正確な情報が手に入るため導入が叫ばれています。

また物流業界は、グローバル化も進んでいます。中国で生産されたものを、ネットショップで購入するのは当たり前のこととなっています。サプライチェーンを考えると、海外との連携は必要不可欠ですが、人の力だけでは限界があるでしょう。

 

IoTがサプライチェーンで必要とされた背景

サプライチェーンは現在まで、大きな問題なく管理されているように見えますが、現状のままだと将来的に不安要素を含む状態になるでしょう。

 

生産工程の複雑化

IoTがサプライチェーンで必要とされた理由の1つに、「生産工程の複雑化」があります。現代は多様性の時代といわれていますが、流通にも同様のことがいえます。少量を生産する場合と多くの量を生産する場合では、それぞれ流通方法も異なります。

どのような手段でどこに運び、どうマーケティングして販売していくか、課題は山積みなのです。これらの施策がマッチすれば事業が上手くいく確率が上がりますが、そうでなければ失敗してしまうでしょう。

これまでは、熟練技術者の勘や経験に基づいて決定されていた部分がありました。もちろんそれはそれで有用です。長年の経験に基づく勘は、良い武器になるでしょう。一方で、複雑化した工程の中で勘だけに頼ると危険です。Iotを活用して適切にデータを収集し、サプライチェーンに活かせれば、高い確率のもと判断できるようになるでしょう。

 

人手不足

物流業界が人手不足に陥っていることも、サプライチェーンにIotが必要な理由の1つです。メディアでも報道されていますが、生産に必要な材料や商品を運搬するトラックドライバーの数は減少しています。そもそも少子高齢化により働き手が少なくなってきているため、今後を考えると更なる人手不足が懸念されます。

トラックドライバーに関わらず、全体的な労働人口が減ってきているため、流通以外の他の分野でもIot化は必須となるでしょう。現在の快適すぎる水準を落とせば、現状のオペレーションでも対応できそうですが、生活の質を落とすことに反発する方が増えることは容易に想像できます。経済に打撃を与えることも確実です。

今後人手が足りなくなり状態でこれまでの水準を維持するにはどうしたらいいか。それは効率的なオペレーションを回すことです。業務を効率かするには、どのような無駄があるのか知り、データ化することが重要です。

Iotを活用すれば、リアルタイムで多くの情報を収集でき、それによって業務改善の一助になります。サプライチェーンでも活用すれば、少ない労働力で確実な結果を残せる未来を創造できます。

 

IoTでサプライチェーンが改善した例

商品を生産する際の一番のリスクは在庫を余らせてしまうことです。リスクを最小限に留めるには、需要と供給を正確に知ることが重要。つまり、商品を生産した結果どのくらい売れたのかを知ることは生産するよりも重要なことなのです。

ただ、人間が情報を収集し管理するにも限界があります。コンビニやスーパー等のレジは、POSシステムといった売り上げを把握するシステムはありますが、まだまだ限定的な収集に過ぎず、より総括的な分析は難しい現状です。

Iot化を進めれば、売り上げや在庫をリアルタイムで把握できる上に、POSシステムの情報と顧客情報を紐づけて更に正確な情報を収集できます。インターネットに繋がった端末からすぐに把握できることで、商品が想像に反して売れなければ、その場で生産ラインの健全化が図れます。工場から販売現場まで一元管理できる最大のメリットといえるでしょう。

また、トラックドライバーの待機時間削減を可能とした例もあります。車両配置を知らせたり、現在工事中の道路情報をもとに迂回ルートを提示することで時間短縮に繋がったりと様々な角度からIotを利用して改善した例があります。無駄な時間を徹底的に排除することで流通をスムーズにし、売上向上、人手不足の解消に寄与するのです。

前述の通り、情報収集・解析の重要性は、サプライチェーンについても同様です。交通や生産、流通、購入者情報などをリアルタイムで入手できれば、サプライチェーンをより効果的に進められるでしょう。これらを複合的に管理し利用することで、物流業界のみならず、その他多くの業界で心強い味方となります。

 

まとめ

IoTとサプライチェーンが連携すれば、人手不足の解消や生産管理の簡略化など多くのメリットがあります。物流業界以外にもIotの波は広がっており、これからさらに便利になることは確実でしょう。人間の限界部分をサポートし、科学と共存する社会ができれば、より生活を豊かにする便利なものとなります。