今まで「モノ」だったものが、IoT化によってインターネットと接続し「ソフトウェア」と融合されるようになってきています。

IoTの発展により、今までハードウェア単体で行っていたり存在していたものが「ソフトウェア化されたモノ」で補うことができるようになりました。

ハードウェアからソフトウェアへ

例えば、カメラのレンズ機能。ピントを合わせる焦点機能や、フィルムを現像して行っていた色調の調整などは、かつてハードウェアで行っていました。しかし、近年それらはソフトウェアで行っています。ハードウェアで行っていたことがソフトウェア化されたことにより、製作時間の短縮、コスト削減、性能の向上につながってきているのです。

IoT(=あらゆるものがインターネットと繋がる)という考え方が、ハードウェアとソフトウェアを繋げ、それぞれの特徴や得意分野のいいところ取りができるようになり、新たな可能性を生み出してきています。

 

インターネットを経由して様々なものを繋ぐIoT

IoTとは、モノのインターネットという意味。「Internet of Things」の略で、アイオーティーと読みます。

今では多種多様な人が利用しているインターネットですが、黎明期のインターネットはコンピューター同士を繋ぐことが基本の技術でした。そのあと技術は格段と進歩し、現代ではコンピューター以外のものとも繋ぐことが可能に。これがIoTという技術です。コンピューター以外のものとは、家電や機械など多岐に渡ります。

あまり身の回りでは気が付かない事も多いですが、今や生活の中で欠かすことができないIoT。世界中での市場規模は7000億ドル超といわれており、インターネット社会を支えています。日常生活の中だけにとどまらず、さまざまな分野の企業にも導入され、その需要はますます大きくなってきています。

 

IoTの高性能な機能

IoTにはいくつかの機能があります。そのいくつかの機能から、2つご紹介します。

まずは、監視機能です。対象の機材や周囲の環境についてリアルタイムで監視可能で、データも収集することが可能。人間が監視していた際にかかるコストを削減できる上、監視データを用いて環境の最適化、商品設計の参考などに利用できます。

もう1つが制御機能。先ほどの監視で得られる情報を基に、遠隔で指示を出したり、自動で機材を動かしたり、周囲の環境が変わればそれに応じて自動で変化することも可能となります。外部から指示できることで、長時間稼働させたり、工場の地理的問題を解決したりというメリットがあります。

 

身の回りのIoT

日常生活の中で何気なく使用しているものにも、実はIoTが活用されています。

例えば、家電製品などのリモコン。これまでは、テレビはテレビのリモコン、エアコンはエアコンのリモコンという様にリモコン1つでできることは限られていました。

しかし現在は、スマートフォン1つで家庭内の多くの家電にアクセスできます。チャンネルを変えたりという基本操作のほかにも、外出時に事前に電源を入れたり、電気をつけたりと遠隔での操作も可能。

さらに、最近話題のスマートスピーカーもIoTの技術が使われています。音声をキャッチして、適切な操作を自動で行ってくれているのです。

 

さまざまな分野で活躍するIoT

近年、多くの企業がIoTを導入したサービスを開始しています。そのジャンルは、製造業や農家、自動車業界をはじめ、病院や学校など様々です。その例をいくつかご紹介します。

まずは工場や車などの製造業です。製造業は多くの機械を所有し毎日稼働しています。機械の情報や売上、生産量などのデータをIoTに読み込むことにより、需要と供給のバランスを素早く収集でき、生産効率の向上を図ることができます。

また、遠隔操作により夜間などの人手が足りないときにも機械を稼働でき、生産量の増加や人的コストの削減が期待できます。さらに、機械の不調箇所をリアルタイムで検知し故障前に修理することも可能です。

病院や学校などの公共施設でも、IoTは活躍しています。病院では、遠隔操作による手術が注目を集めています。

複数の機械を同時に遠隔操作し、患者の状態を一つのモニターで一度に確認できる技術です。これにより、手術のミスによる医療事故や人間の目では確認できなかった疾病などの確認にも役立つでしょう。他にも通信機能のあるペースメーカー等、医療技術の発展に大きく影響を与えています。

 

IoTの問題点と課題

IoTを導入するメリットは数多くあります。しかしその一方で、課題となっているものも多いのが現状です。

まず1つ目の課題は、人材不足です。IoTデバイスから情報を収集し、そのデータを分析・活用するには高いレベルの技術が必要です。日本でIT人材が不足していることからも分かるように、優秀なデータサイエンティストを確保することは非常に困難。中小企業ともなるとその傾向が顕著です。自社で育てていく環境が重要でしょう。

次にセキュリティ問題が挙げられます。IoTを利用するにあたり、多くのデータを収集することになります。

多くのデータを抱えることは、その分リスクも増大になるということ。家庭内の家電製品などの利用データが漏れれば、個人情報が漏れるだけでなく、その人の行動パターンなどが漏れてしまうため非常に危険です。また、医療業界でも活用されているIoTではその対策はより重要といえるでしょう。

最後にバッテリーです。遠隔操作などを行うにあたり、バッテリーは必要不可欠。IoTデバイスは小型のものが多く、大型のバッテリーを搭載することはできません。そのため、バッテリー寿命が問題視されています。重要なタイミングでバッテリー切れを起してしまうと、重大な問題に繋がりかねません。

このように、IoT化にはいくつかの課題があります。これらの課題と上手く付き合いながらIoTを有効に活用することで、大きなメリットを生むことができます。

 

まとめ

生活の中で必要不可欠な存在となったIoT。身の周りの気づかない所にも、数多くのIoTが活用され、さらには幅広い分野の企業にも広がっています。

まだまだ課題もあり、発展途上のIoTですが、スペシャリストたちの手によって、その性能は日々進化し続けています。これからも、私たちの生活をより便利に快適なものへと導いてくれることでしょう。今後どのようなIoTを活用したモノが誕生するのか注目です。