近年、耳にする機会が増えたIoTという言葉ですが、具体的にどんな《場所・モノ》に使われているか知らない人がほとんどではないでしょうか。意外と、私たちの身近にあるモノにも『IoT』の技術は活用されています。
本記事では、IoTを活用する上でのメリット・デメリットなど、今後ますます注目される最新技術『IoT』について詳しく解説します。
IOTとは?
『IoT』とは、「Internet of Things(直訳:モノのインターネット)」の頭文字を取った略称です。
これまで、インターネットを活用するといえば、《パソコン・スマートフォン・タブレット端末》など、IT周辺機器だけでした。
IoT化が急速に進んだことにより、従来インターネットに接続されることのなかった様々なモノ《電子機器・建物・車》など、あらゆるものがネットワークを通じてインターネットに接続できるようになりました。
いわゆる「スマート家電」と呼ばれるモノもそのひとつです。
Apple watchやGoogle Glassなど、身体に装着して利用する端末機「wearable device(ウェアラブルデバイス)」なども有名です。
IoTできること、メリットとは
IoTを活用・運用することで、私たちの生活は大きく変動し便利なモノになりました。
IoTを活用することで、ユーザーの利便性や効率化だけでなく、企業向けのマーケティングに関連する効果も期待されています。IoT化の特徴であるさまざまな機能と、ユーザー・企業側それぞれのメリットについてご紹介します。
① 離れた場所からでも操作可能。
自宅にある照明・エアコン・テレビなど、家電製品の電源《ON/OFF》といった単純な作業はもちろん、エアコンの温度・風量の強弱といった緻密な設定まで、外出先から遠隔操作することができる機能です。
また、車や自宅のドアやシャッターの開閉を行なうことができるほか、ネットワークカメラや防犯カメラなどを利用して自宅のペットの様子や、登下校中の子どもの動きなど、離れた場所からスマホなどのデバイスを通じて、いつでも確認することができます。
② 離れた場所からモノの動きを検知し、情報をリアルタイムで取得できる。
離れた場所にあるモノの《温度・湿度・気圧・音》など、さまざまな情報を検知し、重要な情報をリアルタイムで取得・管理することができる機能です。
実例として、自宅や社内の照明や、エアコンの稼働状況などが離れた場所から確認できるため、消し忘れ等などで圧迫していた電力費用の削減に繋がります。
また、IoTを活用することで離れた場所からでもモノの《周辺状況・計測数値の動向・人の動き・生活状況》などを即時に知ることができるため、ペットや1人暮らしの高齢者の異常を瞬時に把握でき、医療チームの迅速な対応が可能になります。
さらに、ビジネスでもユーザーによる《利用頻度・利用時間》などの情報が、マーケティングリサーチやアンケートを行わずとも、直接把握することができるようになります。その結果、データが商品の改善や開発に直結するほか、人件費や労働費の削減に繋がります。
③ モノ同士で通信を行い、あらゆるモノを“自動化”できる。
今話題の家庭用向けに開発されたシステム“スマートホーム”をはじめ、ビジネス向けの施設を対象とした“スマートビルディング”など、センサーやCPUなどのモジュールを組み込んだ、複数の電子機器を自動的に動作させる機能です。
インターネットを介して、人工知能(AI)などがクラウド上に蓄積した膨大なデータを分析することで、モノに《次に求められる行動》を「actuate(アクチュエート)」させることで快適なライフスタイルを実現することが可能になります。
特に世界的に注目されている活用方法として車の自動運転です。
ハンドルを握ることなく目的地に到着する自動運転。2020年の東京オリンピックに向けて、「2020年、東京で自動運転車が走り回っている」と、安倍首相がと宣言するほどです。
次世代通信技術「5G」の実用化により、夢の技術は遠い未来のことではないかもしれません。
IoT化が進むことで起こるデメリットとは
IoTの発展・活用は、私たちの生活をより便利なものにする上で欠かせない存在となっています。しかし、IoTを導入するうえで、まだまだ多くの課題が存在します。IoTが抱えるデメリットについて、解説していきます。
課題① セキュリティ対策
インターネットに接続するIoT機器は、インターネットを通して外部からサイバー攻撃を受けるリスクを抱えています。
サイバー攻撃は、IoT化が進む現代で最大の驚異であり課題だといえるでしょう。
「なりすましメール」から感染するコンピュータウイルスや、外部からのデータの改ざん、個人情報の流出など実際、事件は起きています。
また、映画『サマーウォーズ』のようなウイルス感染による核兵器の誤発射など、被害は世界規模で広がる可能性が現実的にあり得るのです。
課題② IT人材不足の問題
IoTの技術開発・管理には、専門技術を持った人材が求めらます。
しかし、経済産業省が行った調査によると、IT業界の人材不足は深刻で、2015年で約17万人の人材不足が報告されています。さらに、2030年には約40万人~約80万人が不足するだろうと想定されている最悪の状況です。
また、IoTサービスではデバイスから得られる膨大なデータを分析し、管理する必要がありますが、IoTに詳しい人材が必要不可欠。しかし、多くの分野で人材が不足しているのが現状です。
課題③ 電力供給の増加の問題
IoTやAIの開発・導入は、電力供給の問題に直結します。
例えば、多くのモノがIoT化することによって、今まで電力を必要としていなかった製品や、少量の電力で動いていた家電なども、これまで以上に電力を消費すると予想されています。
また、自然災害やトラブルにより電力の供給が途絶えてしまった場合、すべての製品で電波の送受信が行えない他、データ処理や動作など機器全てがストップしてしまい、経済が麻痺する恐れがあります。
今後のIoTはどうなるのか?AIとの関係性について
今注目されている技術、人工知能(AI)の技術向上により、今や映画・アニメの世界に登場する架空の存在《ドラえもん・ターミネーター・鉄腕アトムなど》いわゆる知能を持ったロボットが誕生する時代へと近づきつつあります。
人間の《しぐさ・思考・行動》を、コンピューターが忠実に再現するこの技術は、IoT化が進むことによって、それぞれ役割を補い、業務の効率化アップや、予測精度の増加、効率的な機械制御など、多くの価値を生み出すことが見込めます。
あらゆるモノがインターネットに接続されて相互通信する時代です。
地球規模の広大なネットワークの中で、膨大な量のデータのやり取りを行い、私たちの生活に利便性や快適性を与えてくれる最新技術『IoT』の進化は、今後も目が離せません。