IoT(モノのインターネット)は、あらゆるモノをデバイスとしてデータを収集、伝送、活用することができます。多種多様なIoTシステムですが、工場ネットワークの構築にも活用が可能です。IoTシステムを用いた工場ネットワークを構築することで、ダウンタイムの低減や設備総合効率の向上、セキュリティ面での向上、様々なコスト削減などのメリットが生まれます。

工場ネットワークを構築するにはどうすればよいのか。IoTをからめた工場ネットワークの構築についてご紹介します。

 

IoTシステムの構成

IoTシステムを構築する際、まず必要なのがネットワーク構成の全体像を把握することです。

全体像を把握し、ネットワークを構築するにあたって求めている要望などをはっきりとさせます。始めに道筋を作っておくことで、IoTシステムを構築する際の道標ができます。

製造現場では、どのような課題があるでしょうか。大容量のデータを活用しきれない、非効率なシステム、セキュリティの脆弱性などの課題をあげ、これらを解決するためのネットワーク構成を導き出していきます。

IoTを構成する要素は様々です。センサーネットワーク、広域ネットワーク、全体像を理解した上で、膨大にあるIoTの構成要素を選ぶことで最適なネットワーク構成ができます。

まず、IoTを構成する要素としてあげられるのがIoTゲートウェイとIoTデバイスです。

IoTゲートウェイとは、IoTデバイスをネットワークに接続するための装置のことです。IoTデバイスはネットワークに接続するための「モノ」のことです。

これら2つがIoTを構成する2つの要素です。

ネットワークに繋がるため、センサーと通信機能を備えたIoTデバイス。これには様々な種類があります。装置に内蔵されているもの、小型のモバイル端末型のもの、建物に固定された形のものなど、形は様々です。これらはセンサーの情報を送信するだけでなく、ネットワークを経由して外部からデバイスを遠隔操作可能なものまで幅広くあります。

 

IoTネットワークの構築

様々な形を持つIoTデバイスですが、これらを繋ぐには2通りの方法があります。IoTゲートウェイを経由して接続する場合と、直接インターネットに接続する場合です。

直接インターネットにつなぐ場合、すべてのIoTデバイスを繋いでしまうと、費用面だけでなく消費電力面でもコストがかかります。反対にIoTゲートウェイを経由する方法だと、インターネットに接続するのはIoTゲートウェイだけになります。IoTデバイスから集めたデータをIoTゲートウェイがインターネットを経由してクラウド上に送信するだけでなく、サーバーからの情報を適切なIoTデバイスに送信することも可能です。IoTゲートウェイはIoTデバイスの架け橋能様な役割を持つのです。

IoTデバイスとIoTゲートウェイを接続する場合、無線センサーでの接続が有利です。有線の場合、シリアルポート接続やLAN接続、またはUSV接続などを利用します。通信は安定しますが、ポート数に限りのあるIoTゲートウェイは、IoTデバイスを多く接続するには不向きです。また、設置するために費用がかかりすぎてしまいます。無線でつなぐ場合だと、費用を抑えてより多くのIoTデバイスを簡単に接続可能できます。環境によっては通信状態が不安定になりますが、IoTネットワークの構築やIoTデバイスの移動や増設が簡単に行えるので問題ありません。これらを踏まえて無線の届く範囲内であれば、有線よりも無線がより有利と言えます。

 

工場のネットワークセキュリティ

工場ネットワークを構築する際、必ず考えなければならないのがネットワークのセキュリティです。

産業用IoTを導入することにより、工場内の機器はネットワークに繋がることになります。外部からのサイバー攻撃などのリスクが生まれるため、これらへの対応が必要です。

サイバー攻撃によって工場の品質に影響が発生したり、ブランド価値を損ねたり、売り上げが減少したりする場合、企業経営に影響を与えることも考えられます。

IoTセキュリティは段階によって必要な対策を行います。IoTシステムを階層は、デバイス、ネットワーク、アプリケーション、プラットフォームの4つです。各階層によってそれぞれ脅威となるものが変わってきます。

IoTシステムの脅威の種類は様々です。それぞれに対して適切な対策が必要であり、対策は各システムや機器の間をまたいで行う場合もあります。DDoS攻撃の場合なら、プラットフォームにDoS対策ツールの導入などの対策を行うなど、それぞれに応じて対処します。

工場でのIoTシステムの場合、ネットワーク分離も有効です。インターネットを経由して通信ネットワークからウイルスで攻撃を受けても、遮断して制御ネットワークを隔離します。ネットワークをこうして分離することで、制御ネットワークに影響を与えません。

 

 

工場内のIoTネットワークとスマートファクトリー化

工場のネットワーク構築する際、IoTにいかに適した形で構築し、運用管理するかは大きな課題です。スマートファクトリーの実現にこの課題は避けて通れません。

スマートファクトリーとは、工場内のあらゆる機器、設備、工場で行う作業のデータをIoTの活用で収集、分析、活用し、新たな付加価値を作り上げることが可能な工場のことです。

スマートファクトリーを実現するには、いくつかの課題があります。まずはその複雑性の改善です。工場内の多数のラインや設備のネットワークは、それぞれで構築されているうえ、頻繁に変更されているため、正確な現状把握が難しくなっています。スマートファクトリーを実現する上で、これらを一つのネットワーク基盤に接続しなければなりません。また、全体を安定して運用させることが必要です。

もう一つの課題がセキュリティについてです。スマートファクトリーを実現するには、制御系システムを一つのネットワーク基盤にハブなどに集約するだけでなく、クラウドサービスなどのデータを連携させる必要があります。IoTによって発生する脆弱性の検出、修正は大きな課題といえます。

 

工場ネットワーク構築のIoT利用の重要課題

IoTの活用で必須になるのが脆弱性の予測機能です。予知保全は2019年から現状において、関心が高まっています。

予知保全を実現するには、AIの力と現場の力を合わせることが重要です。これらを組み合わせ、加速化するサイバー攻撃の脅威にあらゆるデバイスのIoT化に対応する必要があります。

この重要課題に取り組むことが、最終的なスマートファクトリーの実現、生産性の向上につながります。