近年よく聞かれるようになった「IoT」という言葉、何となくは理解していても具体的に説明できる方は多くないのではないでしょうか。今回は、IoTの3層構造について説明するとともに、IoTセンサーを活用した事例も併せてご紹介します。IoTへの理解を深め上手く活用することで、働き手不足にも対応できるかもしれません。

 

IoTとは

IoTとは「Internet of Things」の略で、直訳すると「モノのインターネット」という意味です。もともとインターネットは、情報を取り扱う機械や通信機器(コンピュータやスマートフォンなど)に接続されることが多いものですが、それだけではなく世の中の様々なモノに通信機能を持たせることが「IoT」と呼ばれています。

 

今までのインターネットでは、人の手で行った操作が結果としてデータに反映される、という動きが一般的でした。しかしIoTでは人が手を動かさなくても、あらゆるモノに備え付けたセンサーによって情報を収集しデータとして蓄積されていきます。

 

そんなIoTは、人手不足に対する解消策として現在AIなどとともに注目されています。昨今の日本が、深刻な人手不足に陥っていることは言うまでもないでしょう。少子高齢化によって労働人口がどんどん減っており、今後もその流れは止まりそうにありません。

 

その中で、人の手を通さずにモノに取り付けたセンサーによって情報を蓄積できるIoTは、さまざまな業界に活用できると言われています。現時点でも、IoTを活用した多くの取り組みが行われ、他業種に渡り活用が始められていますが、今後さらにこの動きは大きくなっていくでしょう。

 

IoTの3層構造とは

 

IoTの構造は3つに分けられて考えられています。データを収集してネットワークに送信する「デバイス層」、デバイス層から送られたデータを処理してフィードバックする「エッジ・コンピューティング層」、エッジ・コンピューティング層から送られた膨大な情報を解析したりアプリケーションを実行したりする「クラウド・コンピューティング層」。これらをIoTの3層構造と呼んでいます。

 

このように3層に分けた構造が必要となるのは、センサーを付けたモノの数が膨大になることでネットワークに負荷がかかったり、クラウドだけでは処理しきれなくなったりすることが理由として挙げられます。また、デバイス層からエッジ・コンピューティング層を介さずにすべての情報をクラウド・コンピューティング層に送信してしまうと、セキュリティを担保することができないことや、通信料などのコストが大きくなってしまうことも考えられるでしょう。

 

そのため、デバイス層とクラウド・コンピューティング層の間にエッジ・コンピューティング層を介し、クラウド・コンピューティング層に送信する情報を選別することで、セキュリティの確保やコストの削減に繋がります。

 

また、このエッジ・コンピューティング層で情報処理を行うコンピュータがお互いに連携して、大規模な処理を行う仕組みを「フォグコンピューティング」と呼ぶことがあります。「フォグ」というのは「霧」という意味で、クラウド=雲よりも地面に近くモノの周辺に置かれることから、このような呼び名がついたと言われています。

 

IoTセンサーの活用事例

■自動室温調整

自宅の温度を管理してくれるIoTデバイスです。自宅に温度センサーを取り付けることで、エアコンやヒーターと連動、住んでいる人の好みや季節によって適切な温度に自動調整します。AIも搭載すれば、人の起床時刻や帰宅時刻を学習することもでき、それぞれの生活リズムに合わせて温度を調整してくれます。自宅に人がいない時間は、エアコンを消してくれるので、省エネ・節約効果も望めます。

 

■自動点灯ライト

地震が起きた際に、自動で点灯するライトです。

振動検知センサーを取り付けたライトで、一定以上の揺れを検知すると点灯する仕組みになっています。暗闇の中を懐中電灯を探して歩き回る必要がなくなり、停電が起きた際にも活用できます。地震大国である日本では、需要の大きな仕組みかもしれません。

 

■スマートゴミ箱

街中にあるゴミ箱にセンサーを取り付け、ゴミの蓄積情報を発信します。普段目にする街中のゴミ箱ですが、ゴミを回収するのには人の手を使うことになりコストがかかってしまいます。そこで、ゴミ箱にどれだけゴミが溜まっているかをセンサーで検知して、本当に必要なタイミングで回収を行えるようにしました。不必要な労働(回収作業)を抑えられるだけでなく、コスト面の削減にも役立つ仕組みです。

 

■スマート治療室

手術に使用するメスにセンサーを取り付けるという画期的な活用方法が開発されようとしています。腫瘍がどの程度悪性であるかなどを、手術中リアルタイムで画面に映し出すことができ、多くの機器から取得した情報を併せて可視化することで最適な治療ができるようになると言われています。医療機器にIoTを活用することによって、医療ミスを減らしたり安全性の向上にも効果があると期待されているようです。

 

IoTセンサー体験キット

IoTがさまざまな業種に活用されていることは、前項の活用事例でもご紹介しました。そして現在では、IoTはかなり身近な存在になってきています。

 

インターネット上では、誰でも購入できるセンサーキットが多く販売されるようになり、個人レベルでIoTを活用しようという人も増えてきました。たとえば、ヘルスケア機器にセンサーを付けることで、スマートフォンでの健康管理を自動に行ってくれるキットや、遠くに住む高齢者を見守るための心拍センサーキットなどが挙げられます。

 

まとめ

現状でも多くの業種で活用されているIoTセンサーですが、その活用方法や活用シーンはまだまだ多岐に渡ると考えられています。今後さまざまな形でIoTセンサーを活用するためのアイデアが発表されていくでしょう。その中で人手不足解消に役立つアイデアも、多く出てくることが予想されます。人手不足に悩む企業では、今後は労働力確保と同時にIoTの活用等も視野に入れてみてはいかがでしょうか。